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NPO法人小野川と佐原の町並みを考える会 理事長 佐藤 健太良
佐原市の旧庁舎、軋む床と防腐剤の臭いのする部屋で町並み郷土史の勉強会が毎週開催されました。「自分の家を修理して補助金がもらえ、観光客が押し寄せてくる」を期待し、重要伝統的建造物群保存地区選定を目標に掲げ当会を設立してから30年が経過しました。
この資料では、近々10年に関して被った天災に対し対処してきた足跡を記してゆきます。
平成20年は、交流館入館者数15万人、町並み案内の回数は年500回を超え、骨董市には毎回平均1500人の人が訪れていました。平成21年・22年もこの好調は続き、そして平成23年3月11日東日本大震災に遭遇し国指定1棟と県有形文化財8件13棟が屋根瓦の崩落や壁の亀裂などの被害が確認され、重伝建地区・景観地区内のほとんどの建物と液状化の被害も加わり市内約6000棟の建物が被害を受けました。
事務局員は市の被害調査に同行し住民のお話や被災状況など聴きました。理事長高橋氏は県指定建物と重伝建内建物の被災状況を調査し復興のための対策を考えておられました。その後、県指定建造物所有者による「千葉県指定有形文化財を守る会」を発足して千葉県へ補助率嵩上げの交渉や「ワールドモニュメント・ウォッチリスト」掲載からアメリカン・エクスプレス社の支援決定等の事業と震災支援募金活動を展開いたしました。
3年ほど経過し、被災建物のブルーシートも見えなくなり、以前ほどの入り込み客数には達しないまでにも平穏な日々が訪れました。
年号は令和に変わり元年9月9日台風15号で長期の停電や断水・通信障害などの被害を受け、記録的な強風で小野川の柳が倒木しました。同年10月12日の台風19号は突風により久保木家(旧油惣)の建物一部が壊され、正上の塀が倒される被害がありました。 利根川上流、大雨の影響により香取市内で利根川決壊と危惧され多くの自衛隊員が佐原に駐留し待機しておりました。堤防決壊は免れ本当に良かったです。
安堵する間もなく新型コロナウイルス感染は全世界に拡大し現在2度目の緊急事態宣言が発令されております。特に観光業への被害は甚大で佐原町並み交流館での案内受付は全件キャンセルとなり、交流館入館者は、以前の2~3割程度に激減いたしました。
以前のような賑わいに戻れるのか心配ですが、令和4年3月には保存修理の完成する旧川崎銀行(三菱館)、そのころには無電柱化工事も終了し佐原の町並みはさらに素晴らしい景観を見せます。
コロナと同居する時代が来ても、佐原の誇れる町並みを多くの方々に紹介して行きたく、安全・安心の体制を確立すべく会員一同・住民の方々と共に一層の努
力をする所存です。
最後になりましたが、香取市関係機関や各団体・地域住民からご指導ご鞭撻を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。また、三菱館に集った諸先輩やNPO法人設立の加瀬理事長、震災時の高橋理事長のご指導により30周年を迎えましたことを記し結びといたします。
